| 育児特集:おむつはずし | おむつはずしは子育てのチョモランマ |
なぜだろう? 日々、戦場のような、育児まっただなかのお母さんは、「トイレトレーニング」と聞くと、いても立ってもいられなくなる。 ある人は血圧が上がり、ある人は動悸息切れめまいを起こし、 またある人は体内ドーパミンが大量に分泌されて、ナチュナルハイ状態におちいってしまう。 ……というのはウソですけど。 育児に「終わり」なんてものはない。はえば立て、立てば歩めで、歩んだ先にも、 公園デビュー、幼稚園(保育園)入園、おけいこ、お受験、学校の勉強と、線路は続くよどこまでも。 ただ、そのなかでもトイレトレーニングは、なんだか特別。さん然と輝く育児の山場。子育てママのチョモランマ。 確かに、育児に終わりはないのだけど、思うにトイレトレーニングは、 「生まれ落ちてすぐの“虫”状態から、子猿程度にまで進化してきたわが子が、 人間に仲間入りするための儀式」なのではないでしょうか? だから、早くわが子を人間にしたいママは、頑張る。 頑張りすぎて、子供をトイレ嫌いにしてしまったり、無理におむつをはずして、 街中でおもらしをされてしまって「キャ〜!」なんてことも、けっこうしょっちゅうあるけれど、それでも頑張る。 ……かくいう私にも、苦い体験があります。 「小学校に入っても、おむつをしている子なんていないんだから、平気、平気♪」と、 最初はお気楽な私でしたが、娘が2歳になった夏。 娘のお友達で、誕生日も近いAちゃんのおむつが、突然、はずれてしまったのです! 私はあせりました。 やっぱり、目の前で娘のお友達がおむつはずしに成功すれば、「ウチの子だって!」と思ってしまいます。 その日から、我が家では、いかにも付け焼刃なトイレトレーニングが始まりました。 でも、敵はまだトイレの間隔が開いていない。 トイレに誘えば座るし、座れば出るけれど、自分からは座らない。 「おしっこ、大丈夫?」「だいじょぶ」「本当に大丈夫?」「だいじょぶ!」……ジャ〜!! そんな悲劇(喜劇?)が、何度、繰り返されたことでしょう! しょっちゅう拭くから、ピカピカになっていく床と反比例して、私の気持ちはすさむ一方。 あの時期、私は、自分の人生の全てをトイレに支配されているような気さえしたものです。 そして、ある日のこと。娘を連れて歯医者に行った私は、診察室に入る前に、いつもの通り確認しました。 「オシッコは?」「だいじょ〜ぶぅ!」「本当ね?」「うん!」……ジャ〜〜ッ! ああ、やっぱりぃ! しかも、そのとき私は、すぐに終わる診察だからと思って、替えのパンツも何も持っていなかったのです。 私は、娘のパンツを脱がすと、はいつくばって、そのパンツで床を拭き始めました。悲しかった…! すると、そばで見ていた知らないお母さんが、そっと1枚の紙パンツを、私に差し出してくれたのです。 「お気持ち、よ〜くわかります」! ああ、まるで『一杯のかけそば』のような話じゃないですか! ……その日を境に、私はトイレトレーニングをやめました。 いっつもイライラして娘にあたるよりも、紙パンツでニコニコしていたほうが、私も娘もハッピーでいられると思ったからです。 それに、よくよく観察すると、Aちゃんのママは、Aちゃんが失敗すると、鬼のように叱っていました。 「叱ってはずす」パターンだったのですね。 それは、軟弱モノの私には無理だ…、と素直に思えました。 半年後、娘は自分から「オムツいや」と言い出し、そのまま失敗もなくはずれてしまいました。 それが娘の“時期”だったんですね。 おむつはずしは大変だけど、子供に教わるものもありました。 頑張れッ! そして頑張りすぎるなっ! 全国の子育てママ!! |